ぼくの眼に映る光景は
ぼくの世界のすべてじゃない
ゆがんだ教室も
校舎から見下ろす日常も
きっと世界のすべてじゃない
空を見上げると
涙があふれるから
気づかれないように
目をつむる
まぶたのずっと奥には
だれにも邪魔されない
世界がひろがっていて
笑っているぼくがいる
眼に映るものだけが
世界のすべてじゃないことを
ぼくはだれより早く知るんだ
目に映る
ほんとうの世界を見つめることは
ほんとうの自分に出会うことなんだ
『新しい道徳 2』 巻頭詩 (東京書籍)